AI画像生成のやり方と主要ツール紹介

AIが画像生成をしてくれると聞いたけれど、どういうこと?とお悩みではありませんか。文章や音声の生成など、AIサービスは幅広く普及しています。AI画像生成もサービスの中の1つで、ユーザーの希望条件を伝えることで、魅力的な画像を作ってくれます。

ここでは、AI画像生成の基本や始め方、安全に使うためのポイントを紹介します。初めて使う方が知っておきたい活用例や使用上の注意点も解説するので、AI画像生成サービスに興味のある方は、ぜひ参考にしてください。

この記事の監修者
伊藤 康平

大学卒業後の2004年に独立系Sierの上場企業に入社し、基幹システムなどエンタープライズシステム開発事業に従事。

2010年に海外法人(オフショア開発)を立ち上げ、2017年からはAI事業を立ち上げ、AI系のSaasサービスを2つローンチして現在も運用中。

また2018年にはAIに特化した法人とメディアの立ち上げにも携わる。現在はRAGやDifyを活用したAIアプリケーションの開発に従事。

AI画像生成とは?

AI画像生成という言葉を聞いたことはあるけれど、どんなサービスなのか分からないとお困りの方も多いでしょう。ここでは、AI画像生成サービスとは何か、どんなときに活用できるかを紹介します。

テキスト(プロンプト)から新たな画像を作り出すサービス

AI画像生成とは、大量の画像データから特徴を学習したAIモデルが、指示に沿った新しい画像を作ってくれるサービスです。AIはユーザーが入力するテキスト(プロンプト)に沿った画像を作るので、人が一から画像を作る必要はありません。欲しいと思える画像を、AIが作成してくれます。

似たサービスにAI画像修正とAI画像加工があるものの、それぞれで内容が異なります。AI画像修正は指示文に沿って画像編集や修正を行うサービス、AI画像加工は指示文に沿って画像加工や編集、処理を行うサービスです。

精度の向上でプロが作成したような画像・イラストを生成できる

AI画像生成サービスの精度は2025年現在で実用的なレベルになっており、プロのイラストレーターが描いたような画像を作ってもらえます。指示文を詳しく書けば、学習内容からAIが最適な画像を生成します。アニメ風・絵画風・写真風の画像まで、幅広く作ってくれるでしょう。

AI画像生成の活用例

AI画像生成は、企業の広告デザインや業務効率化など、さまざまなシーンで活用されています。実際の活用例を見てみましょう。

企業名活用内容期待される効果
アサヒビール株式会社自社ホームページでAI画像生成サービス「Create Your DRY CRYSTAL ART」を公開。ユーザーの顔写真と指示文を送ることで、アサヒビールの商品を持ったユーザーの画像を生成できる商品の持つ世界観を視覚的に見せることで、購買意欲を向上させる
株式会社セブン‐イレブン・ジャパン蓄積した膨大なデータから新商品に関する画像を生成することで、企画のアイデア出しに活用商品企画に掛かる人件費や作業時間を大幅に短縮
株式会社スペースリーAI画像生成に部屋の360°写真とフロアマップ画像を送信することで、それぞれに対応したパノラマ画像を生成できるサービスを展開賃貸物件の成約率の向上や店舗への来店率をアップさせる
株式会社レベルファイブAI画像生成「Stable Diffusion」でゲーム画面のレイアウト案を生成レイアウト案制作にかかる人件費や作業時間を大幅に短縮
株式会社mignAI画像生成サービス「ChatGPT」と「Stable Diffusion」を利用して、建築デザイン案を生成建築デザイナーの負担を軽減、マイホーム購入者に希望に沿った建築デザインを提供

各企業で、AI画像生成サービスを活用した画期的な取り組みが行われています。AI画像生成を使った取り組みによっていくつものメリットが得られるため、サービスは企業にとって大きな価値があるといえるでしょう。

さまざまな用途があることから、専門知識が必要なのでは?と不安を覚える方も多いかと思います。しかし、AI画像生成は指示文を詳しく入力することで、知識のない人でも理想的な画像を作成することが可能です。手軽に自分のアイデアを形にできるので、ぜひ活用してみてください。

主要AI画像生成ツールの使い方

サービスを活用して画像を作ってみたいと思ったら、ツールの使い方をチェックしておきましょう。本記事では、ChatGPT・Canva・Bing Image Creatorを使う流れを紹介します。

ChatGPT

ChatGPTは、OpenAI社が提供するチャットAIサービスです。指示文を入力することで文章を作成してくれるサービスとして話題になり、ブログ記事の作成や長文の要約、アイデアの提案など幅広い用途で使われています。有料版のほかに無料版があるため、まずはAIサービスを試してみたいという方にもおすすめです。

ChatGPTは文章生成のほかに、画像生成サービスも提供しています。初めてChatGPTを使う方向けに、アカウント登録から画像生成までの流れを紹介します。すでにOpenAIのアカウントを持っている方は、画像生成の指示文を入力する項目からご覧ください。

1.OpenAIアカウントの作成

引用:ChatGPT

まずはOpenAIのアカウント登録の流れを見ていきましょう。

  1. ChatGPTのホームページにアクセス
  2. ホームページ右上にあるログインをクリック
  3. 画面右にある「新規登録をクリック」
  4. メールアドレス・Googleアカウント・AppleID・Microsoftアカウント・電話番号から登録方法を選択する
  5. パスワードを入力する
  6. 送信されたOpenAIのメール本文にあるURLにアクセス
  7. 名前・生年月日・電話番号を入力
  8. SMSで届いた認証番号を入力

アカウント登録が完了したら、ChatGPTの画像生成サービス (https://chatgpt.com/g/g-D0oLp5LQu-hua-xiang-sheng-cheng)にアクセスしましょう。

2.画像生成のプロンプトを入力する

引用:ChatGPT

アカウント登録が完了したら、早速画像を作ってみましょう。画面下にある「質問してみましょう」の部分に指示文を入れます。紹介する3サイトの比較ができるよう、すべての指示文を「猫が昼寝をしているリアルな画像を作ってください。場所は一軒家のリビング、暖かな雰囲気の色合いでまとめてください」とします。

指示文を送信して、1〜2分ほどで画像が生成されました。

指示文に沿って、猫が昼寝をしているリアルな画像を生成してくれました。指示文を変更することで、内容に沿った画像を生成してくれるので、生成された画像に不満な点があればその都度指示文を変更してみましょう。

Canva(キャンバ)

Canvaは、60万点もの多様なテンプレートと写真や動画、グラフィックなどの1億点以上の素材を学習しているAI画像生成サービスです。Canvaはオンライン上で使える無料のグラフィックデザインツールでもあるため、指示文を入力して生成した画像をそのまま自身の手で編集できます。画像スタイルや色合いなど、編集ツールを使って理想的な画像に仕上げられるため、細部までこだわりたい方におすすめです。

初めてCanvaを使う方向けに、アカウント登録から画像生成までの流れを紹介します。すでにCanvaのアカウントを持っている方は、画像生成の指示文を入力する項目からご覧ください。

1.Canvaのアカウントを作成する

引用:Canva

まずはCanvaのアカウントを作成する流れを紹介します。

  1. Canvaホームページにアクセス
  2. 画面右上にある「登録」をクリック
  3. メールアドレスやGoogleアカウントなどから登録方法を選ぶ
  4. Canvaを利用する目的や業種などの基本情報を選択する

登録はすぐに済ませられるので、隙間時間にアカウントを作成しておきましょう。アカウントを作成したら、Canva(https://www.canva.com/)にログインします。

2.画像を生成する

アカウント登録が完了したら、早速画像を作ってみましょう。先ほどと同じように、指示文は「猫が昼寝をしているリアルな画像を作ってください。場所は一軒家のリビング、暖かな雰囲気の色合いでまとめてください」とします。

指示文入力から約1分で、4つの画像候補が生成されました。

4つの候補の中から右下の画像を選択し、編集していきます。

調整ツールを使って画像の質感を変更しました。鮮明さや明るさ、彩度などさまざまな項目を自分で調整できるので、好みの画像に仕上げられるでしょう。全体に不満がある場合は、再生成することも可能です。

Image Creator from Microsoft Designer(旧Bing Image Creator)

Image Creator from Microsoft Designer(旧Bing Image Creator)は、Microsoft社が提供するAI画像生成サービスです。OpenAIが開発したAIモデル「DALL・E2(ダリ ツー)」を採用しており、指示文を入力することで画像を生成してくれます。海外のサイトではあるものの、日本語入力に対応しているため、英語で指示文を考える必要はありません。

Image Creator from Microsoft Designerの利用には、Microsoftアカウントが必要です。ここからアカウント登録〜画像生成までの流れを紹介するので、すでにMicrosoftのアカウントを持っている方は、画像生成の指示文を入力する項目からご覧ください。

1.Microsoftアカウントを作成する

引用:Microsoft

まずはMicrosoftアカウントの作成方法から紹介します。

  1. Microsoftホームページにアクセスする
  2. ページをスクロールして「アカウントを作成する」をクリック
  3. メールアドレスを入力して「次へ」をクリック
  4. パスワードを設定する
  5. 届いたメールに記載されているセキュリティコードを入力する
  6. クイズ、または画像認証を行う

登録が完了したら、Image Creator from Microsoft Designerのホームページ(https://designer.microsoft.com/image-creator)にアクセスしましょう。

2.画像を生成する

Microsoftにログインしたら、ホームページから指示文を入力して画像を作ってみましょう。先ほどと同じように、指示文は「猫が昼寝をしているリアルな画像を作ってください。場所は一軒家のリビング、暖かな雰囲気の色合いでまとめてください」とします。

指示文入力から約1分で、4つの画像候補が生成されました。視点がそれぞれ異なるほか、色合いや猫のポーズも変わるため、好みの画像を選べます。

AI画像生成の便利機能

ChatGPTとImage Creator from Microsoft Designerは再生成可能、Canvaは画像の編集や加工などの便利機能が備わっています。Canvaは生成された画像を編集することができるため、プロンプトの内容が曖昧でも、後ほど自分好みの画像に仕上げられます。

ただし、ChatGPTとImage Creator from Microsoft Designerはプロンプトの内容を変えて再生成する必要があるため、プロンプト作成のコツを把握することが大切です。

作成のコツは、作りたい画像イメージを明確にして、構図・人物や動物のポーズ・光源・背景・表情などの要素をプロンプトに含めることです。例として、5歳くらいの男の子が海で遊んでいる画像のプロンプトを見てみましょう。

「男の子が海で遊んでいる画像を生成してください」

「5歳の男の子がお昼の海で遊んでいる画像を生成してください。男の子は波にはしゃぎ、思い切り楽しんでいる様子にしてください。遠くから撮影している視点でお願いします」

プロンプトに沿って画像イメージが大きく変わりました。内容を明確に、くわしくすることで画像生成から加工までを1つのツールで行えるため、コツを抑えて画像を作ってみましょう。

伊藤 康平さん
伊藤 康平さん

また、プロンプトで新しく画像を生成するだけでなく、実際に撮影した写真から別の画像(イラストなど)を作成することもできます。家族や仲間との記念写真を手書き風のイラストにしたり、好みのアニメ風のイラストにすることもできるため、非常に便利です。実際の写真から面白いイラストも作れるため、ぜひ試してみてください。

例として、この記事ではプロンプトで家族写真を生成し、その後に手書き風のイラスト画像を生成してみました。画像は画面下にある「質問してみましょう」の部分にある+ボタンから追加ができます。

・家族写真のプロンプト(左側)

 「日本人の4人家族の写真画像を作成してください。

  家族の構成:父(40歳)、母(35歳)、息子(12歳)、娘(5歳)季節:冬

  服装:カジュアル

  場所:遊園地」

・手書き風のイラストのプロンプト(左側)

  「この写真を手書きのイラストにしてください」

なお、記念写真などアップロード画像をAIの学習に活用されないようにしたい場合は、別記事(ChatGPT(チャットGPT)での文章作成のやり方(方法))で紹介している初期設定を忘れずに実施しましょう(ChatGPTの場合)。

before画像 after画像


AI画像生成を利用するときの注意点

AI画像生成サービスは便利な機能が備わっている一方で、使用時に気を付けておきたいポイントがあります。ここで注意点を紹介するので、使う前にチェックしておきましょう。

著作権や利用規約を確認する

基本的に、AIが作成した画像には著作権がないため、既存の画像と類似していなければ問題はありません。ただし、商用利用する場合はサービスの利用規約をチェックすることが大切です。サービスによっては商用利用が不可となっている場合があるため、ビジネスで画像生成を利用する方は注意が必要です。

AI画像生成利用への規制をチェックする

AI画像生成利用への規制を厳しくしている国もあります。

  • 欧州:個人のプライバシーや人権を保護するために規制
  • アメリカ:透明性の向上、悪用防止のために規制
  • 日本:透明性を確保し、適切な利用を促すガイドラインを策定

欧州やアメリカではプライバシーや悪用防止の観点から厳しく規制されていますが、日本では厳格な法規制は行われていません。ただし、使い方によってはトラブルが起こる恐れもあるため、利用前にガイドラインに目を通しておくと安心です。

不適切な画像の生成はNG

AI画像生成サービスにはフィルタリングが付いているため、暴力的・わいせつ・差別的な指示文を入力しても、内容に沿った画像は生成されません。指示文に不適切なワードが入っていても、フィルタリングによってワードが除外されます。誤って不適切なワードが入っていた場合も、不快感を覚えるような画像が生成される心配はありません。

プロンプトに個人情報を入れないよう注意

画像生成だけでなく、文章作成や音声作成などのAIサービスを利用する際は、プロンプトに個人情報を入れないよう注意しましょう。プロンプトに入力された内容は、AIの学習のためにクラウド上に保存されます。保存された情報が漏洩する恐れもあるため、住所や氏名などの個人を特定する情報は入力しないようにしましょう。

まとめ

AI画像生成は、これまでに学習した内容をもとに、プロンプトに沿った新しい画像を作成するサービスです。具体的なプロンプトを入力することで、AIは内容に沿った魅力的な画像を作ってくれます。イメージしていたものと違う場合は、再生成や編集機能を使って自分好みに加工することも可能です。

AIに新しい画像を作ってもらうのに、特別な知識やスキルは必要ありません。初心者でも手軽に理想の画像を手に入れられるため、ここで紹介したツールの使い方を参考に、ぜひ試してみてください。