初めに
ChatGPTを使っていて「もっと自分の用途に合わせたAIがあればいいのに」と思ったことはありませんか?
実は、ChatGPTには「GPTs」という機能があり、これを使えば自分専用のAIアシスタントを簡単に作ることができます。
この記事では、GPTsの基本的な仕組みから具体的な作成方法、実際の活用事例まで、初心者の方でも理解できるように詳しく解説します。
GPTsとは何か? – 自分専用のAIアシスタントを作れる機能
GPTs(ジーピーティーズ)とは、ChatGPTを特定の目的に合わせてカスタマイズできる機能のことです。簡単に言えば、「自分専用のAIアシスタント」を作ることができます。
従来のChatGPTとの違い
従来のChatGPTは、何でも答えてくれる「万能型」のAIでした。しかし、GPTsは特定の分野に特化した「専門型」のAIを作ることができます。
従来のChatGPT(万能型)
- 幅広い質問に対応
- 毎回詳しい指示が必要
- 一般的な回答
GPTs(専門型)
- 特定の分野に特化
- 簡単な質問で十分
- より具体的で実用的な回答
GPTsの3つの大きなメリット
1. プログラミング知識不要
コードを書く必要はまったくありません。日本語で「こんなAIが欲しい」と説明するだけで作成できます。
2. 業務効率化が可能
毎回長い指示(プロンプト)を入力したり試行錯誤する手間が省け、作業時間を大幅に短縮できます。
3. 共有・公開可能
作成したGPTsは他の人と共有したり、GPT Storeで世界中に公開したりできます。
GPTsでできることの具体例
ビジネス分野での活用
1. 議事録作成アシスタント
会議の内容を入力するだけで、きれいに整理された議事録を自動作成してくれます。
2. メール文章作成サポート
相手の情報や内容を伝えるだけで、適切な敬語を使ったビジネスメールの下書きを作成します。
3. 企画書・提案書の作成補助
テーマや目的を入力すると、構成案やアイデアを提案してくれます。
学習サポート分野での活用
1. 語学学習コーチ
語学レベルに合わせた学習プランを提案し、継続的にサポートしてくれます。
2. 資格試験対策
TOEIC、簿記、ITパスポートなど、各種資格試験の問題作成や学習計画を立ててくれます。
3. 数学・理科の家庭教師
分からない問題を段階的に解説し、理解度に応じたフォローをしてくれます。
趣味・生活分野での活用
1. 旅行プランナー
予算や期間、好みを伝えるだけで、詳細な旅行プランを作成してくれます。
2. 料理レシピ提案
冷蔵庫にある材料や好みを伝えると、オリジナルレシピを提案してくれます。
3. 健康管理アドバイザー
生活習慣や体調に合わせた健康管理のアドバイスをしてくれます。
GPTsの作成方法 – 7つのステップで完成
実際にGPTsを作成する手順を、詳しく説明します。
ステップ1:ChatGPTにログインしてGPT Storeにアクセス
- ChatGPTの公式サイト(https://chatgpt.com/)にアクセス
- アカウントにログイン
- 左側のメニューから「GPTを探す」をクリック
- 画面右上の「+作成する」ボタンをクリック
・GPTsの作成には有料プラン(ChatGPT Plus)への加入が必要です
・月額20ドル(約3,000円)で利用できます
ステップ2:作成画面で「作成する」タブを選択
GPTsの作成画面には「作成する」と「構成」の2つのタブがあります。
- 「作成する」タブ: ChatGPTと対話しながら自動で設定
- 「構成」タブ: 手動で詳細な設定を行う
初めてなら「作成する」を選択することをおすすめします。
ステップ3:作りたいGPTsの概要を入力
作成したいGPTsの目的や機能を日本語で説明します。
TOEIC対策を中心に、単語学習や文法解説、リスニング練習の提案をしてほしいです。
初心者にも分かりやすく、やる気を保てるような明るくてやさしい口調でお願いします。
ステップ4:タイトルの決定
ChatGPTがあなたの説明に基づいて、適切なタイトルを提案してくれます。
提案例
- 「TOEIC英語学習コーチ」
- 「英語マスター先生」
- 「TOEICサポーター」
気に入ったタイトルがあれば「OK」、修正したい場合は具体的な希望を伝えます。
ステップ5:アイコンの作成
ChatGPTが自動的にGPTsのアイコンを生成してくれます。
- 気に入った場合:「このアイコンで良いです」
- 修正したい場合:「もう少し明るい色にしてください」など具体的な要望を伝える
ステップ6:詳細設定の調整
GPTsの動作について、より詳しい設定を行います。
毎日の学習時間も確認して、無理のないスケジュールを組んでください。
間違いを指摘するときは、優しく丁寧に説明してください。」
ステップ7:動作確認と公開
右側のプレビュー画面で、GPTsが正しく動作するかテストします。
公開設定の選択
- 「自分だけ」: 自分のみが利用可能
- 「リンクを受け取った人」: URLを知っている人のみ利用可能
- 「GPTストア」: 世界中に公開
GPTs作成時の重要な設定項目の詳細
基本設定項目
1. 名前
GPTsのタイトルとなる部分で、機能が分かりやすい名前をつけることが大切です。
2. 説明
GPTsの機能や使い方を簡潔に説明する文章です。他の人が見ても理解できるよう、分かりやすく書きます。
3. 指示
GPTsの動作を決める最も重要な部分です。詳細で具体的な指示を書くことで、理想的な動作を実現できます。
高度な機能設定
1. 知識ファイルのアップロード
PDFファイルやテキストファイルをアップロードして、GPTsに専門知識を教えることができます。
例:会社のマニュアルをアップロードして、社内専用のヘルプデスクGPTsを作成
2. 機能の有効化
- ウェブ参照: インターネットで最新情報を検索
- 画像生成: DALL-Eを使った画像作成
- データ分析: ExcelファイルやCSVファイルの分析
3. 外部API連携
他のWebサービスと連携して、より高度な機能を実現できます。
成功するGPTs作成のコツ
1. 具体的で明確な指示を書く
悪い例
良い例
1. まず現在の英語レベルを確認
2. 1日30分の学習プランを提案
3. 間違いは優しく丁寧に説明
4. 週1回の進捗確認を実施
2. ユーザーの立場に立って考える
実際にGPTsを使う人が、どのような情報やサポートを求めているかを考えて設計します。
3. テストを繰り返す
作成後は実際に使ってみて、期待通りの動作をするか確認し、必要に応じて設定を調整します。
人気のGPTs活用事例
ビジネス特化型GPTs
1. 議事録作成AI
会議の録音データや手書きメモから、整理された議事録を自動生成します。
2. プレゼン資料作成アシスタント
テーマと時間を指定するだけで、効果的なプレゼン構成を提案してくれます。
3. メール返信サポート
受信したメールの内容を分析し、適切な返信文を提案します。
学習サポート特化型GPTs
1. 数学解説先生
数学の問題を段階的に解説し、理解度に応じてヒントを出してくれます。
2. 英会話練習パートナー
日常会話からビジネス英語まで、レベルに合わせた会話練習ができます。
3. 資格試験対策コーチ
各種資格試験の過去問分析と学習計画を立ててくれます。
クリエイティブ特化型GPTs
1. ブログ記事作成アシスタント
SEOを考慮したブログ記事の構成案と本文を作成します。
2. SNS投稿文ジェネレーター
プラットフォームに合わせた効果的な投稿文を生成します。
3. 小説・物語創作サポート
キャラクター設定やプロット作成をサポートします。
GPTs利用時のセキュリティ対策【2025年最新】
情報漏洩リスクとその対策
主なリスク
- 機密情報の意図しない学習
- 第三者への情報流出
- プロンプトインジェクション攻撃
企業での安全な利用方法
1. 機密情報の入力禁止
- 顧客情報
- 財務データ
- 内部文書
- 個人情報
2. オプトアウト設定の活用
ChatGPTの設定で「Chat history & training」をオフにすることで、入力内容が学習データに使用されることを防げます。
3. API版の活用
企業向けのAPI版を利用することで、より高いセキュリティレベルでGPTsを活用できます。
最新の法的規制への対応
EU AI法(2025年2月2日施行)
- 禁止されるAIシステムの利用禁止
- 高リスクAIシステムの規制
- 透明性の確保
日本のAI新法(2025年6月4日公布)
- AI開発・利用促進とリスク対応の両立
- AI戦略本部の設置
- 基本計画の策定
これらの法的規制に対応するため、企業でGPTsを利用する際は以下の点に注意が必要です:
- 利用目的の明確化
- データ管理の徹底
- 定期的な利用状況の監査
- 従業員への教育・研修
GPTs利用時の注意点とトラブル解決
よくある問題と解決方法
1. GPTsが期待通りに動作しない
原因
- 指示が曖昧
- 複数の機能を同時に要求
- 矛盾する指示
解決方法
- 一つの機能に特化した明確な指示を書く
- テストを繰り返して調整する
- 具体的な例を指示に含める
2. 情報が古い・不正確
原因
- 学習データの更新タイミング
- ウェブ参照機能がオフ
解決方法
- 最新情報が必要な場合はウェブ参照機能を有効化
- 情報の正確性を他のソースで確認する習慣をつける
3. 処理速度が遅い
原因
- 複雑すぎる指示
- 大量のファイルアップロード
- 複数の機能を同時利用
解決方法
- 不要な機能をオフにする
- アップロードファイルを最小限に抑える
- 指示をシンプルにする
スマートフォンでの利用制限
制限事項
- GPTsの作成・編集は不可
- 一部の機能が制限される場合がある
対処方法
- 作成・編集はPCで行う
- 利用のみスマートフォンで行う
GPTsの将来展望と可能性
技術的な進化の方向性
1. マルチモーダル対応の拡張
- 音声、画像、動画の統合処理
- リアルタイム翻訳機能
- 3D表示対応
2. API連携の強化
- より多くの外部サービスとの連携
- リアルタイムデータ処理
- IoTデバイスとの連携
3. 学習能力の向上
- ユーザー個別の学習機能
- 継続的な性能改善
- フィードバック機能の強化
ビジネスへの影響
1. 業務自動化の加速
従来人間が行っていた定型業務の多くが、GPTsによって自動化される可能性があります。
2. 個人の生産性向上
誰でも高品質なAIアシスタントを利用できることで、個人の生産性が大幅に向上します。
3. 新しいビジネスモデルの創出
GPTsを活用した新しいサービスや事業が続々と登場することが予想されます。
教育分野での活用拡大
1. 個別最適化学習
一人ひとりの学習レベルや理解度に合わせた、完全個別対応の学習サポートが実現します。
2. 24時間学習サポート
いつでもどこでも質問できる、専門分野に特化した学習アシスタントが利用できます。
3. 言語学習の革新
ネイティブスピーカーとの会話練習が、いつでも気軽にできるようになります。
まとめ:GPTsで始める AI活用の第一歩
GPTsは、誰でも簡単に自分専用のAIアシスタントを作成できる革新的な機能です。プログラミング知識は一切不要で、日本語での指示だけで高機能なAIツールを作ることができます。
GPTs活用の3つのメリット
1. 業務効率化
繰り返し作業の自動化により、時間を大幅に節約
2. 学習サポート
個人に最適化された学習プランで効果的な学習
3. 創造性の拡張
アイデア出しや企画立案のサポートで創造性を向上
始める際の重要ポイント
- ChatGPT Plusへの加入: GPTs作成には有料プランが必要
- 小さく始める: まずは簡単な機能から試してみる
- 継続的改善: 使いながら設定を調整し、理想的な動作を目指す
- セキュリティ意識: 機密情報の取り扱いには十分注意する
次のステップ
- 最初のGPTs作成: 日常業務や学習で使えるシンプルなGPTsから始める
- 継続的な活用: 様々な場面でGPTsを活用し、AI活用スキルを向上
- GPTsの参照・共有: 自分が作ったGPTsを他の人と共有したり、他の人がつくったGPTsに触れる
AI技術の進歩により、GPTsの機能はさらに拡張されることが予想されます。今からGPTsに親しんでおくことで、将来的なAI活用の基盤を築くことができるでしょう。
まずは気軽に、あなたの日常生活や業務に役立つGPTsを一つ作ってみてください。きっと、AIの可能性を実感できるはずです。
引用元・参考文献
記事内容の参考文献
- 【2025年最新版】GPTsとは?ChatGPTがもっと便利になる”自分専用AI”を活用しよう
- 【実演あり】GPTsの作り方を7ステップで解説!作成のコツや必要な準備も紹介
- 初心者向けGPTsの始め方!コツや共有方法など作り方完全ガイド
- GPTsのセキュリティ対策は何をすればいい?社内利用時の注意点を解説
- GPTsを学習させない方法3選!ChatGPTからの情報漏えいリスクを軽減
- 【ChatGPT新機能】「GPTs(カスタムGPT)」とは?使い方や活用例5選
- ChatGPTの活用事例30選|仕事・ビジネスでの活かし方を具体的に紹介
画像引用元
- Hitobo: https://hitobo.io/blog/chatbot-chatgpt_gpts/
- malna株式会社: https://malna.co.jp/blog/custom_gpts_guide_and_examples/
- SHIFT AI: https://shift-ai.co.jp/blog/4849/
- 株式会社エージェンテック: https://www.agentec.jp/blog/index.php/2024/06/27/agt-ai-005/
- mikimiki webスクール: https://mikimiki1021.com/create-gpts
- スキルアップAI: https://www.skillupai.com/blog/ai-knowledge/chatgpt-examples/
法律・規制に関する最新情報(2025年6月時点)
- EU AI法:2025年2月2日から段階的施行開始
- 日本AI新法:2025年6月4日公布